『かんのん讃歌』解説

自分ヲカンジョウニ入レヌ人

「おまえがここまでやってこられたのは、おまえのまわりにいる人達のおかげだよ。親のところへ持ってくる金があったら、その分おまえのまわりにいる人達を、先ずよくしてやることだ。
たらいの暖かい湯は、むこうへやればまわってこっちへくるものだ。いつでもまわりの人を大切にするように。」

これはわたしの前著『にんげんだもの』を出してくれた松本瑠樹さんが、父親(故人)へ小遣いを届けた時に、いわれたことばだそうです。
宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の詩の中に「アラユルコトヲ、自分ヲカンジョウニ入レズニ」とありますが、松本さんが人の面倒を見る時の動きは、まさにその通りです。この作品は松本さんの亡くなられたお父様への讃歌です。

出典:「おかげさん」(ダイヤモンド社)より

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